英語のタイ文字置き換え規準


 以前、「ピジン・イングリッシュ」という言葉を聞いたことがあります。
 インドネシアなど、東南アジアの人々の話す英語を、なかば揶揄中傷したもので、「ビジネス(business)」を「ピジン(pijin)というところから、そのように呼ばれるようになったらしいです。

 英会話の未熟者に、タイ人の英語を批判するなどということは、出来る身でもありませんが、とにかく理解に苦しむタイ人の英会話、その、よってきたるところが、ココにあるという「王立学士院」の定めた「規準」を紹介します。

 最近、改訂された原典は、タイ語のページですが、 こちら のページにあります。

 ローマ字の読める人口が少ないこともあってか、新聞などにローマ字表記が出てくることは滅多にありません。タイ語に翻訳できない英語などの外国語は、もとの単語がタイ文字に変換されて記載されていることが多く、参考になるかもしれません。

 変換ルールの基本は、英単語の発音に出来るだけ忠実にということらしいですが、タイ語と英語の音韻体系の違いは大きく、英語の発音どおりというわけにはいかないようです。
 中部タイのタイ語と、北タイのタイ語では、音韻構造もかなりちがっており、北タイでは、また異なった置き換えをすることもあるようです。
 いずれにしても、ただ、この規準を理解すれば、タイ人の英語が、いくらかはよく聞き取れるようになるのかもしれません。

 「原典」を翻訳したつもりですが。誤訳もありそうで、ご指摘いただけるとありがたいです。

 なお、参考までに、一部、タイ語の発音をカナで併記しましたが、正確な発音とは程遠いと思われ、タイ人の上げ足を取るような気がしてきたのと、タイ語がそこそこに読める人以外、こんなページ見ることもないだろうと思い、途中で投げ出しちゃいました。


参考) 『言語編 タイ人の英会話(タイグリッシュ)
』も、ご参照ください。
     こちら  にあります。



英語のタイ文字置き換え規準

まえがき

1. (この新しい)書き換えの規準は、(英単語の)綴りをもとに改訂し、タイ語としてより読みやすいように改めた。

2. (英語以外の)他の各種言語については、別途、規準を設ける予定である。

3. 慣用されてきた単語や王立学士院版 「タイ語辞典พจนานุกรม ฉบับราชบัณฑิตยสถาน )」 に掲載されているものは、従来どおりとする。

      例 :
       chocolate : ช็อกโกเลต, ช็อกโกแลต
                          (チョッコレー または チョッコレ)
       set      : เชิ้ต (セッ)
       gas      : ก๊าซ, แก๊ส (ガーッ または ゲーッ)

4. 固有名詞で、従来からの慣わしで使われてきたものは、従来どおりとする。

      例 :
       Victoria   :  วิกตอเรีย (ウィクトりぃア)
       Louis      :   หลุยส์ (ルいー
       Cologne    :  โคโลญ (コーろーン)

5. 一般には使用されない専門用語については、必要と思われる都度追加改訂する予定である。



英語のタイ文字への置き換え規準 (総則)


1. 母音
 英語辞典に載っている母音とタイ語の母音の比較をした『母音置き換え規準一覧表』(別ページ)にもとづき置き換えることとする。

2. 子音
 (同様に)英タイ子音比較にもとづき作成した『子音置き換え規準一覧表』(別ページ)にしたがって置き換えることとする。

 英字の子音の置き換えに関しては、一般慣習になどによる「例外」も多く、小生は記憶できないため、原則的な置き換えルールだけ抜き出して、「簡易表」を作成しました。
             『子音置き換え簡易一覧表』(別ページ)をご参照ください。

3. 黙音符号(メカラン) ( _์์ ) について

   3-1 タイ語では発音しない(出来ない?)子音には、黙音符号をつける。

      例 :
       horn    :  ฮอร์ (ホーン)
       Windsor :  วินด์เซอร์ (ウィンすー

   3-2 語尾子音字(ตัวสะกด)が重なっている語または音節の場合は、発音しない
      語尾子音字の最後のひとつにだけ黙音符号をつけるだけでよい。
      (黙音符号のついていない直前の子音も黙音になることがある)
      例 : 
       Okhotsk :  โอค็อตสก์ (オこーツ)
       Barents :  แบเร็นตส์ (ベーれんト)

   3-3. 黙音符号をつけた語尾子音字の直前に、発音しない子音がある場合は、
      黙音符号を省略する。

      例 :  
       world   :  เวิลด์ (うぅーン) →
                         右の写真とはちがいますが、
                         写真の方が北タイの発音に
                         即しているみたいです。

       quarts  :  ควอตซ์ (クォーツ)
       Johns   :  จอนส์ (チョーン)
       first    :  เฟิสต์ (フゥース)

4. 長母音を短母音にする記号(マイ・タイ・クー)(ไม้ไต่คู้ )の使用方法は以下の通りとする。

   4-1 本来のタイ語と区別するために、「マイ・タイ・クー」をつける。

      例 :
       log  :  ล็อก 
 (ローク) 〔タイ語 ลอก:皮を剥ぐ〕

   4-2  音節の区分を明瞭にするためにつける

      例 :
       Okhotsk :  โอค็อตสก์ (オこー


5. 声調記号をつけない。

       (例外) 本来のタイ語と混同する恐れがある場合は、この限りではない。

       coke  :  ค้ (コーク)
       coma  :  โคม่ (コーまー

6. 語尾子音文字が重なっている場合は、ひとつを省略する。

      例 :
       football :  ฟุตบอ (フットぼん

     (例外) 専門用語、または、固有名詞の場合は、語尾子音字を重複させる。
       pattern  :  แพตเทิร์น (ペッとぅーン)
       Missouri  :  มิสซูรี (ミッスーりー
       broccoli  :  บรอกโคลีี (ぶろッコリ

7. 音節末の子音で、発音するべきであるものは、以下の規準によるものとする。

   7-1 音節末子音の直前の母音が、อะ (ア)の音である場合は、
      音頭の子音に母音符号・マイ・ハン・アカート(ไม้หันอากาศ )をつけて、
      音節末子音も省略しない。

      例 :
       couple  :  คัปเปิล (カッぷーン)
       double  :  ดับเบิล (ダッぶーン)

   7−2  音節末子音の直前の母音が、อะ (ア)の音以外の場合には、
       英語のつりを見て判断し、音節末子音を重複させない。

      例 :
       California :  แคลิฟอร์เนีย (ケリフォーニア)
       general   :  เจเนอรัล (チェヌらん

   7−3   -er, -ing, -ic, -y のような接尾辞がついている語で、
       7−2に該当する場合は、しばしば誤った発音がされてきたので、
       音節末子音を追加して置き換えることとする。

      例 :
       sweater  :  สเวเตอร์ (サウェッとぅー
       booking   :  บุกิง(ブッきん
       Snoopy   :  สนูปี (サヌーッぴー

8. ハイフン เครื่องหมายยัติภังค์) で結合している単語は、ハイフンを省略。

      例 :
       cross-stitch :  ครอสสติตช์ (クロスてぃッ)

     (例外) 学術用語と固有名詞に関しては、ハイフンも省略しない。
       cobalt-60   :  โคบอลต์-๖๐ (コぼん-60)
       McGraw-Hill :  แมกกรอว์-ฮิลล์ (メックロ−ン)

9. 英単語が2語に分かれている場合でも、1語とみなせる場合は、
    連続した1語として、置き換える。

      例 :
       calcium carbonate :  แคลเซียมคาร์บอเนต์ (ケンシエムカーボネ)
       night club    :  ไนต์คลับ์ (ナイクらップ)
       New Guinea   :  นิวกินี (ニウキにー



(10〜13 は、専門的学術用語の翻訳を含めての置き換え規準のため省略。)


14. 英字アルファベットのタイ文字表記

A
: เอ
B
: บี
C
: ซี (スィー)
D
: ดี
E
: อี
F
: เอฟ
G
: จี (チー)
H
: เอช えー
I
: ไอ
J
: เจ (チェー)
K
: เค
L
: แอล ーン)
M
: เอ็ม

N
: เอ็น (エン)
O
: โอ
P
: พี
Q
: คิว ウ)
R
: อาร์ (アー)
S
: เอส 
T
: ที
U
: ยู
V
: วี (ウィー)
W
: ดับเบิลยู (ダブンユー)
X
: เอกซ์ ック)
Y
: วาย (ワーイ)
Z
: แซด 


  (注) 略称などで使われてる、ピリオドや空白は省略する。
      :
       BBC   :  บีบีซี (ビービーすぃー
       F.B.I.   :  เอฟบีไอ (えっビーアィ)
       D D T  :  ดีดีที (ディーディーティー)

15. 略称などでの「綴り字読み」は、その読みに従って置き換える。
    この際ピリオドなどは付加しない。

      例 :
       USIS    :  
ยูซิส (ユーしっ
       UNESCO :  ยูเนสโก (ユーねーッコー)
       ASEAN  :  อาเซียน (エーシン)

16. 個人の名前の省略表記 においては、ピリオドをつける。
    また、姓と名の間には、空白を置く。

      例 :
       D.N. Smith    :  
ดี.เอ็น. สมิท (ディーエンサみっ
       G.H.D Cold    :  จี.เอช.ดี. โคลด์ (チーエッディーン)