タイ語・ちょっとだけ



 1.  タイ文字 (続き)

1- 5 音節末のつづり字 ( トゥア・サコット と トゥア・カーラン )

       タイ語における音節末のつづり字としては、トゥア・サコットตัวสะกด )と呼ばれる
     定められた形式、または、トゥア・カーランตัวการันต์ )と呼ばれる特殊符号つきの
     音に限られる。


  (1)  トゥア・サコット

     タイ語における音節末のつづり字 (トゥア・サコット) としては、以下の8種類がある。
     というか、この8種類しかない。



トゥア・サコットの名称 発音 音節末の文字
@  แม่ก  メー・コング (-ŋ )  ง  ค่า ลิ
A  แม่ก  メー・コン (-n )    ชา บา จรั
B  แม่ก メー・コム (-m )  ม  โช ตา ถา
C  แม่เก メー・クゥーイ (-i )  ย  สบา ชา ย้า
D  แม่ก メー・コック (-k )  ก ข ค ฆ  มา สุ นา เม
E  แม่ก メー・コッ(ト) (-t )  ด จ ช ฎ ฏ ฒ   วุฒิิจ กบ
F  แม่ก メー・コッ(プ) (-p )  บ พ ภ  อา กาย์ ลา
G  แม่เกอ メー・クォーウ (-u )  ว  เอ เล เห

   [ 余談 ]
      タイ人が、“HOTEL” を “hoten” というわけは、“HOTEL” をタイ語に置き換えると
      โ ฮ เ ต ็ となり、上記表中の A メー・コン でわかるように、語末の は、
      タイ語の トゥア・サコット のルールに従ってn と発音することになる。
       最近では、 に「マイ・カーラン符号」をつけて、โ ฮ เ ต ็ล์ と書き、L を英語のように正しく
      発音する人も増えている。




  (2)  トゥア・カーラン ( 特殊語尾子音文字 )

 トゥア・カーランというのは、「マイ・カーラン符号」( อ์ ) のついた文字のことをいい、例外的な語尾子音になったり、黙音になって発音されない。
マイ・カーラン符号のことを、カーラン符号 または タンタカート符号 という。

 純タイ語では、語尾が子音で終わる単語は、(1)の トゥア・サコット だけであるが、外来語をタイ語表示した場合、上記のトゥア・サコット以外の子音文字が語尾(韻尾)にくることがあり、その子音にはマイ・カーランが付加される。

 タイ語は、文字表記する場合、単語や文節で区切ることなく連続して書かれる。かつては文章の区切りも、句読点やスペースなどで区切られることはなかった。(現在では、英語などにならって、単語ごとに「分かち書き」されることも多くなった。)
そのため、語末の子音は定められたものだけでないと、表現があいまいになってしまう。
 ところが、外来語をタイ文字を使って表現しようとすると、さまざまな語末子音の表記が必要になり、「マイ・カーラン符号」が導入され、語末であることを表すようになった。
 また、「マイ・カーラン符号」は、「黙音符号」とも呼ばれるように、特殊な語末子音に関しては、タイ人には発音することが難しいことが多く、いつのころからか、発音しないでもかまわないことにした。そのため、外来語の発音が著しく不合理なものとなってしまった。
 だが最近は、英語教育の普及などにより、外来語、特に英語などの発音で、「マイ・カーラン符号」符号のついた、語末子音を、正確に発音する人も増えてきた。したがって、「マイ・カーラン符号」を「黙音符号」と決め付けることは、できなくなってきた。

 赤字の文字は、複合語の場合は、発音対象になるが、単独では、黙音になるため、「マイ・カーラン符号」をつけて、発音しないことをあらわしている。
また、下記の例の「タイ」や「ダイヤ」のように、黙音符号が付いていなくても、慣用的に黙字扱いしているものもある。この場合は、「マイ・カーラン符号」はついていないが、語尾の子音が発音されることはない。
 そのほかにも、語尾に限らず、多くの例外的な読みをする単語があり、個別に覚えるしかない。
 これらの例外的な読みをする単語は、もともとは、サンスクリット・パーリや英語などからの借用語であるか、一寸洒落て外来語風に表現したものかのどちらかであると思われる。

(例)
 บัลังก์ ( 玉座 )、สัตว์ ( 生き物 )、ไท ( タイ )、เพช ( ダイヤ )