北タイの野菜

チャカーン / サカーン ( จักค้าน、สะค้าน )

Piper sp.

( コショウ科 : Piperaceae )

 (タイ)  チャカーン  ( จักค้าน
 (日本)  不詳             .

 
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chakarn02.jpg 市場で、「薪(たきぎ)」の山を見たとき、最初は、「ああ、調理用の薪も売っているんだ。」と思いました。そのうち、これが、実は「薪」ではなく「食材」であることを知ったとき、「いくら食べるものに事欠いているとはいえ、こんなものまで食べなくてよさそうなものを」と、いささか不憫な気持ちになったものでした。

 左の写真は、「ケーン・ヘット」のセットを、小所帯用に売っているものです。
 「チャカーン」は、「胡椒」の仲間の植物ですが、その幹も煮ることによって軟らかくなり、香りも増し、単なる香辛料としてだけではなく、他の食材のように食べてしまうのが普通のようです。

 「チャカーン」の木というのは、「蔓性」のかなり大きくなる木のようですが、まだお目にかかったことがありません。ミャンマー領内の山野に、多く自生している木らしいです。

 この「チャッカーン」には、「赤チャカーン」、「ドゥク・チャカーン」、「肉チャカーン」の3種類があるそうですが、「肉チャカーン」は、他の2種と比較して、いくらか軟らかく、もっぱら料理用に供されているようです。

 「チャカーン」は、北タイで利用される食材で、「辛味・香り」付けになり、さまざまな「ケーン」に使われるようです。
 「ケーン・ケー(ドーク・ケーのケーン)」、「ケーン・パッカート・ドーン(酸っぱい漬物のケーン)」、「トム・プラー(魚鍋)」、「ケーン・オーム(ナマズのカレー)」、「ケーン・カヌン(カヌンのケーン)」などに使われ、かつては、「たけのこ」の「灰汁抜き」用にも使われていたそうです。
 また、若葉は、「ラープ」とともに食されることもあるようです。


( 余談 )
 この「薪」が、食材であることがわかり、思い出したことがあります。
第2次大戦後の戦犯裁判で、ビルマ戦線の「泰緬鉄道」関連で裁かれた将官たちのことです。
 捕虜の食事に、「木の根・草の根」を与えていたというのが、裁判官の心象をかなり悪くしたとのことです。カンチャナブリのクウェー川鉄橋のたもとにある「記念館」にも、それらしい拙い絵が貼られていたの見た記憶があります。
 実は、この「根」、「ごぼう」だったのですね。「ごぼう」は、今では、チェンマイ県の奥のほうで、「リス族」が栽培しているそうです。わが家のタイ人たちも、「金平ごぼう」は大好物で、わずかですが、絶やさないようにしております。
 比較するのも、どうかとは思いますが、この「チャカーン」の「幹」よりは「ごぼう」の方が、食用に向いているように思えてなりません。




  【 薬効 】
 ・ 「消化促進」、「消化不良の解消」 などによって、体力回復に効果あり。
 ・ 「腸内ガスの除去」、「腹痛」 など、消化器系の不健康状態を解消。
 ・ 「蔓状の幹」のほか、「葉」、「花」、「果」、「根」など、この植物のすべてが、
   「 タイ方薬」として利用されているようです。