昆虫を食べる(2)  -  「メ ンマン」(アリの幼虫)

 長野県では「アリの佃煮」を作って輸出しているらしいが、日本人がアリを食べるというのは聞いたことがない。
 北タイに越してきて間なしに、「アリ」を食べるという話を聞き、びっくりしたり、さすがに「野蛮人だわい」と、変に感心したりした思い出がある。
 その後調べたところ、ヨーロッパでも調味料や蒸留酒の味付けにしたり、また、中南米、インド、東南アジアなどでも食べるところがあるらしい。アリの子には、20%ちかくの、肉類と同等の良質の蛋白質が含まれていて、この時期、市場では、キロ当たりにすると1、000円近くで売られている珍味(?)。

 当地で食用にするアリは、「マンゴーアリ」と「メンマン」の2種類で、幼虫や羽アリを食べる。
マンゴーアリ」の親アリを、「食酢」の代わりに、「酸味調味料」として使うところもあるそうだ。

 羽アリは、雨季のはじめころ、巣から飛び立ち、蛍光灯などに群がってきたものを捕まえ、から煎りにして食べる。


  「マンゴーアリ」など、「アリ」については、こちら にも掲載してあります。


メンマン」というのは
 「ヤマアカアリ」の一種らしいが、詳しいことは不明。


メンマン掘り  羽アリが巣立つ時期に、羽アリが出てきた巣穴の出口の位置を憶えておき、翌年の乾季の中ばころ、穴のあったあたりで親アリ(働きアリ)を見つけ出し、親アリを手がかりに幼アリのいる巣を掘り出す。

 たいへんな作業で、数人がかりで穴を掘る。親アリの通り道を見失わないように、直径1mmほどの穴に、藁しべなどを差し込んで、少しづつ掘り進む。

 時には、深さ1mくらいの所を、10m位掘っても見つからないこともある。

メンマンの巣

 アリの子がいっぱい詰まった巣が見つかると、時には、歓喜の踊りが始まることもある。

 幼虫は、指でつまむとすぐにはじけてつぶれてしまう。料理用の「杓子」などで、そっと掬い取る。このときに、アリの子をつぶしてしまわないために、まわりの土も一緒に掬い取り、あとから念入りに土を洗い流す。

 何千、何万というおびただしい数の親アリがガードする巣から、アリの子を取り出すわけだが、体長1、2mmの小さなアリだが、この親アリに咬まれるととても痛い。

上を下への大騒ぎ
         茶色のところは、親アリ
         咬まれるととっても痛い

土を洗い流す
        そうっと静かに、土を洗い流す
  

洗い終わったアリの子
    おいしそうに(?)洗いあがったアリの子
   大粒のは、雄アリと女王アリ。羽アリになる。

アリの料理
 「ケーン・メンマン」という料理が出来上がりました。
  香味料をいろいろ加えた、スープ状の料理。



「メンマン」の羽蟻

通称「メンマン・メー(雌メンマン)」と呼んでいる大形のものは、「雄アリ」のようで、中には、女王アリもわずかながら、混ざっているらしい。

 雨期の初めころから、いろいろな種類の羽蟻が、巣から飛び立つ中でも、メンマンの羽蟻は、一番あとからで、時には、雨期中ごろに発生することもある。
 また、ほとんどの羽蟻が、夕方、薄暗くなり始めた頃、待ちかねたように巣から出てくるが、「にわとり」などの、目のきく時間帯なので、食べられてしまうこともある。
メンマンは、夜8時ころから、すっかりあたりが暗くなって、外敵のほとんどいない時間帯に巣から出てくる。
 羽蟻が飛び立つ前に、偵察のアリが空模様など調べているようで、万一、飛び立ち始めて間なしに、雨が降り始めたりすると、あとの羽蟻は、翌日以降に順延するらしい。

 「賢いメンマン」も、巣から飛び立つと、街灯や室内の蛍光灯に群がってきて、人間様の餌食になってしまう。時には、「メンマン」など、食用昆虫を捕獲するために、専用の誘蛾灯を使うこともある。
メンマンの羽蟻
       捕獲された 「 メンマン ・ メー 」
 
羽をもがれた羽蟻
      羽根をむしられた 「 メンマン 」
          乾煎りにして食べる