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北タイの樹木
マイ・ドゥー ( ไม้ดู่ ) | ||||
学名 : Pterocarpus spp. ( マメ科 : Leguminosae ) |
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新築以来、すでに20年近くになる我が家の「窓枠」 には、すべて、「マイ・ドゥー」 が使われている。 日本の家屋では、現在は、窓も窓枠もアルミ製か鉄製というのが一般的であり、建築当初、木製の窓枠など,2,3年もすれば狂いがきて、開き戸式の窓の開け閉めも不自由になるのではないかと心配したことがあった。なにしろ、季節によっては、1日の気温の変化が20℃にもなり、ドシャブリの横なぐりの雨に晒されることなど珍しくない土地柄である。 日本には、建材として使われている木には似たようなものはない。 しいてあげれば「樫」や「クヌギ」 などに近い性質のように思われた。 一体、どんな木なのか気になっていて、調べてみることにした。 「マイ・ドゥー」 は、非常に硬い木で、大工仕事が大変である。 『 材木の資料集 』 によると、「紫檀」や「黒檀」 には負けるとはいえ、超重硬の材ということになっている。 硬度は、0.52 〜 0.74。 鋸(のこぎり)の歯や電気カンナの磨耗が激しいばかりか、容易には釘を受け付けない。いたずら仕事に手伝ったことがあるが、10本のうち、1本くらいがまぐれにまっすぐ打てるくらいのものだった。途中で曲げてしまった釘を抜くのも、なかなか抜けなくて大苦労した。 自分の腕を棚に上げて、タイの釘の軟弱さをなじったりした記憶がある。 太めの釘を打ち込む時には、手馴れた大工でも、釘の先にビニール袋の切れ端を巻きつけるなど、ひと工夫が必要なようだった。 それにしても、成長の早いはずの熱帯の樹木に多くの硬木があるのは、ちょっとばかり不思議な気がする。 北タイには、2種類の「マイ・ドゥー」と呼ばれる木がある。 樹皮や心材が紅色に近いものと、黄白色の2種類で、魚網などの防腐や染色には、紅色のものが使われる。 建材としては、どちらも区別なく使われるようであるが、高級な家具材としては、紅色のものの方が珍重されるようである。 それらを区別するときには、前者を、「マイ・ドゥー・デーン(赤いマイ・ドゥー)」、 後者を、「マイ・ドゥー・カーオ(白いマイ・ドゥー)」と呼ぶ。 学名は、それぞれ、Pterocarpus indicus と Pterocarpus macrocarpus らしい。 実は、この「マイ・ドゥー」、インターネットで調べても、ほとんどデータがなかった。 当地で、これほど使われているにもかかわらず、不思議でしかたがなかったが、身近なものに聞いてみたところ、タイの標準名は、「プラ・ドゥー ( ประดู่ )」という、「マメ科」の植物であるということがわかった。 それにしても、データはそれほど多くはなく、タイのインターネットの世界では、 建材とか魚網の染色などはともかく、樹木などは、マイナーな世界のことらしい。 関連ページも、「チーク」など一部を除くと、林産関係の役所のデータが目につく程度である。 蛇足だが、「マイ・ドゥー」は、タイ国海軍のシンボル・ツリーになっている。また、プーケット県の「県の木」にも指定されている。海岸でも、よく育つ木であるらしい。 |
「 マイ・ドゥー 」 は、樹形の整った木で、街路樹として植えられることもあるようである。
「 マイ・ドゥー 」 は、落葉樹で、当地では、乾期半ばの3月初め
ころに新芽がでて、乾期末の5月ころに開花するようである。
ここまでの写真は、「 マイ・ドゥー・カーオ 」 ( Pterocarpus macrocarpus )
投網などの染色用に樹皮を剥ぎ取られたあとの残る
「 マイ・ドゥー・デーン 」 ( Pterocarpus indicus )
![]() 「 バラ科 」の果樹 「カリン」 とは別物 「 カリン ( 花梨、または、本花梨 )」 のテーブルや家具など見かけたことがあるが、 「 バラ科 」 の果樹 「 カリン ( Chaenomeles sinensis ) 」 とは,まったく異なる樹木である。 今回、「マイ・ドゥー」 について調べるまでは、「 カリン 」 の家具というのは、「 くだもの 」 の「 カリン 」 の木製だとばかり思いこんでいた。家具の世界の専門用語らしいのだが、はなはだ紛らわしいことである。 |
【 用途等 】 ・ 構造材、窓枠、扉枠、家具材など、広範囲に使用されている。 ・ 投網などの、魚網の防腐・染色にも使われることがある。 |
【 参考文献等 】 |
・ 『 タイの植栽樹木 ( ไม้ต้นประดับ ) vol. 2 』 ( アマリン・ブックセンター 2005年刊 ) ・ フローリング用材 としての、「 プラ・ドゥー( 花梨 ) 」 については、 こちら のアース貿易のページ (広告)に詳しく掲載されています。 |