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暦の上での「雨期明け」、「安居明け」が近づいてくると、あちこちの村々の寺で、「キン・サラーク」が催されます。先日(2005年11月)、お隣りの「メーライ町・サンコン村」の寺で行われた「キン・サラーク」の行事に参加してきましたので、そのときの様子をご紹介いたします。 「キンサラーク」というのは、「キン・カオ・サラーク( กินข้าวสลาก )」ともいいますが、中部タイなどでは、「サラカパット( สลากภัต )」と呼ばれる、仏教にまつわる「奇祭」とも言える行事です。 『タイ日辞典(冨田竹二郎著)』によりますと、 「釈尊在世中からあった慣習で、飢饉の年には食べ物が不足し、信者の寄進した食べ物を、僧侶たちがくじ引きをして、食べ物を分け合った慣習に由来」 するものだそうで、開催される時期は異なりますが、タイ全土で見られる行事だそうです。 寺の「檀家衆」たちは、近郷近在の親類縁者や知人たちに、「キンサラーク」の案内を出します。連絡を受けた信者は、知り合いの檀家に「金一封」を提供し、檀家は「クォターン(寄進セット)」の「ヨート・グゥン」という「金の成る木」に「金一封」をつけたものを、寺に寄進します。この際、多額の寄進となると、鉦と太鼓のドンチャン騒ぎをしながら練り歩き、御寺入りすることもあるようです。 あちこちの村々で、交代で行われるため、寄進の額などは、「義理」を欠かないように、以前いただいた分を下回らないように気配りします。 「義理」などという言葉とは、およそ、縁のないタイ人のように思われますが、祝儀不祝儀のお返しなど、「義理」は、配慮しているようです。 「キンサラーク」は、一般の人たちにとって、恒例の「秋の村祭り」で、興行師が取り仕切る「祭り」がなくなってしまった現在では、唯一の楽しみになってしまいました。 露天の物売りが、境内にあふれ、午前中は、近郷近在の若者たちによる「芸能披露大会」が開催され、大変な賑わいです。今回も20組以上のグループが、「サバッチャイ(太鼓演舞)」などの伝統芸能や「新作(?)」ダンスなどを競っておりました。出演した人たちには、町長(カムナン)や村長(プーヤイバーン)から、金一封を頂戴していたようです。 昼食時になると、参列者たちに食事が提供され、午後の1時頃からは、参加した僧侶たち(総勢95人)による読経が1時間ほど続きました。 創建後、88年になるこの寺の「キンサラーク」は、近隣の祭りの中でも、大きな部類に入るようです。参加した僧侶は、住職クラスの正式の僧侶が95人、お供でやってきた小坊主たちをあわせると300人くらいかと思われます。 僧侶たちの長い読経が終わると、寄進された「クォ・ターン」が、僧侶、小坊主に分配され、行事は終わります。実際に「籤びき」が、行われたのかどうかは、未確認ですが・・・。 「写真」は、クリックすれば大きいサイズで見られます。 |