フォト・トピックス

養魚池の魚とり・2007




 
 ソンカーン(タイ新年)気分も一段落した、4月30日から、3日ががりの我が家のイベントです。
 1年に1、2回しかない、養魚池の魚とり風景の一端です。
 1日目、2日目は、小生分担の作業もいろいろあって、写真をとることが出来ませんでした。
 最後の3日目だけですが、北タイ暮らしの日常を、ご想像いただければ幸いです。
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 水がある程度残っているうちに、魚とりをしないと、取り込んだ魚の大半が死んでしまうため、3日目の朝は、まだこの状態でした。

 大人たちを見習ってか、子供たちも「殺生」が大好きで、大活躍でした。
 子供用の「豆四手網」を使って、ドロまみれになりながら、魚をとっています。
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 手前に見える青いパイプが、通称「パヤナーク」という揚水ポンプです。

 原理が簡単なため、価格も4000バーツ前後と、お手ごろ価格です。通常は、野菜などの潅水用に使われるものです。

 これから、このポンプを使って、残っている水のほとんどを下の池に排水します。
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 排水が始まると、魚も動き始め、当地で「チャム」という「四手網」にたくさん魚がかかるようになります。

 「チャム」でさかなを取ることを「トク・チャム(チャムを落とす)」といいますが、中部タイなどでは、この網のことを「ヨー」といよび、この網で魚を取ることを「ヨック・ヨー(ヨーを上げる)」といっているようです。

 ちなみに、「魚釣り」のことも、北タイと中部タイでは全く異なったよび方をします。
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  画面の奥のほうでは、男たちが、「投網」を使って魚とりをしています。
  ご存知の方があるとは思いますが、「投網」というのは、網の先の部分が、細い紐で袋状になっているものですが、この紐を全部はずして、出来るだけ大きく使って、網の半分ほどを水面すれすれに持ち上げて地引網のように底を引きずって使います。
 魚が入った感触が感じられると、持ち上げていた網の端を底に落とし、「投網」の中の魚を手探りで捕まえます。いわば、特殊な地引網として使うわけです。
 今まさに、5人の男たちが、手探り中のところです。
 もちろん、水深がある程度あるところでは、通常の「投網」として使うのが普通です。
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  排水ポンプから、水がどんどん流れているところです。
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 これが、揚水ポンプ「パヤナーク」を動かすエンジンです。

 本来は、耕運機なのですが、日本でも見られる「動力リアカー(ロット・テラーという)」の牽引にも使われますし、このようにポンプなどのエンジンとしても使用される万能の優れものです。

 ヤンマー製の7馬力ほどの水冷式ディーゼル・エンジンです。
 ちなみに、「ロット・イテン」という農業用トラックに使われるエンジンは、通常は10.5馬力のより大型のものが使われています。
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 「四手網」は、このように底につけておき、1、2分毎に、すばやくあげます。
 網の中を魚が通過するのを見計らってあげるわけです。
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 お昼時が近づいてきて、食事の準備です。

 取れたての新鮮な魚の「ホイル焼き」です。
炭火でなくても、普通の焚き火で焼けるので便利ですが、味の方は、やはり、直火の方が美味しいようです。

 そのほかにも、何種類かの料理が出来ましたが、料理中の写真は撮りませんでした。
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 並んでいるのは、すべて北タイ料理です。

 男たちから先に食べるならわしは、今も変わっておりません。

 「ナム・プリック」、「魚のラープ」、「から揚げ」、「炭火焼」、「ホイル焼き」、魚のあらの「ケーン」、「キノコのケーン」などです。
主食は、もちろん「カオ・ニオウ(おこわ)」です。

 このように、車座になって食べるご飯は、それだけでも、なかなか美味しいものです。
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 娘とかみさん合作の「パ・ニン(テラピア)」の刺身。
 今回は、刺身というより、氷でしめてあって、「洗い」に近い感じでしたが、ぷりぷりと歯ごたえのある絶品でした。

 小生が手を下さなくても、これだけのものが口に出来るということは、極楽極楽という感じでした。

 少し遅れて参加した娘も、たくさん食べるのには、「感心」させられましたが、北タイ人としては、異常(?)で、冷やかされていましたが、「ラープ」よりずっと衛生的で美味しいんだと言い返しておりました。まさに、その言や良しといった感じでした。
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 昼食もそこそこに、すっかり干上がった池で魚を拾って歩いていました。

 35℃近い炎天下で、この状態が続くと、わずかに残った水は、温泉並みの暑さになってしまい、急いで拾わないと、みんな死んでしまいます。

 この状態から、まだ、10kgほどの魚を回収できました。
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 すっかり干上がった、「あづま屋」のある島のまわり。

 数日もしないうちに、このあたりには地割れがはいり、池の再生にとっていい効果があります。
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 最後の魚とりは、文明の利器(?)の登場です。

 「雷魚(パ・リム)」、「パ・ブー」、「なまず(パ・ドゥック)」などは、急激に減水すると、土の中にもぐりこみます。
 電気ショックでしびれたところを拾い上げます。弱い電気なので、死ぬこともなく、水に戻すと、程なくして元に戻り元気に泳ぎだします。
 これだけでも、10kg近い収穫がありました。
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 「アイ・マン(隣に住む親戚)」、昨日、今日と、ご苦労様でした。
 記念写真ということで、ポーズをとってもらいました。

 手にしているのは、みんなが池から上がったあと、最後に拾って歩いた小魚です。
 これはすべて、彼のもので、謝礼としてさし上げた魚と一緒に、家にもち帰ります。
 今回、池に入った中では、最年長で、一匹残さずとろうというこころざしは、やはり年配者のもののようです。
 このあと、隣りを流れる灌漑用水に入って体を洗い、魚を洗って引き上げます。


 今回は、予想していたよりも多く収穫でき、全体では、150kg近くになり、100kgあまりを売ることが出来ました。
 事業として成り立つような収入ではありませんが、猫が食べ、犬や人間が食べたあまりものであるうえ、昨日今日と、近所や手伝ってくれた人たちにも配ることが出来、十分な収穫でした。
 そして、何よりも、3日間も、大勢が楽しむことが出来たわけで、そんなチャンスを与えてくれた「神様」に感謝しなければ。