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パク・レム、ドゥン・ターン・カイ

( キャンプ遠足 )
 
  恒例の小学校の高学年の子供たちの、教練の季節がやってきました。
 タイの田舎の学校では、小学生から、中高生、専門学校生、みんな、ボーイ・スカウトか、ガール・スカウトの隊員です。
 男子生徒は、「 ルーク・スア ( 虎の子 )」、といい、女子生徒は「 ユワカチャート( タイ赤十字少女隊 ) 」 とよんでいます。

 この子供たちは、毎年、一番寒い時期に、露営訓練などをさせられます。
 何も、こんな寒い時期にとは思うのですが、過酷な環境であるからこそ、訓練になるということらしいです。

 メカム町内と北隣の町( 小学校が1校しかない )のあわせて7校の5年生、6年生、総勢 600名ほどの男子生徒は、メカム川のかんがい用の堰の脇で、2泊3日のテント生活をさせられます。「 パク・レム( พักแรม ) 」 といいます。

 この2泊3日の教練には、さまざまな、「メニュー」 があります。食事はすべて自分たちで作ります。川の中での寒中水浴び、洗濯、清掃、渡渉訓練、遠出歩き(「ドゥン・ターン・カイ(เดินทางไกล)」などのほか、メカム川の歴史などの講義の時間もあります。
 3日目の夜には、キャンプ・ファイアーの大掛かりな行事があり、大勢の父兄などが見学にやってきます。

 日本で、このような教練を行うといったら、すぐに「軍国主義」復活ということになるのでしょうが、子供たちの心身の鍛錬や共同生活の訓練には、大変役に立つことではないかと思っております。

 わざわざ出かけて取材したものではありません。チャムトーンへ出かけた折に、ちょっと立ち寄って撮影したものばかりです。そのため、かんじんの写真がなく、かなり物足りないとは思いますが、お許しください。






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 ここが、露営の場所です。
 キャンプ場というわけではなく、ただ、比較的広い場所があることと、川が近くにあり、水浴びなどが便利だということで、この場所が、キャンプ場として使われることが多いようです。

 日本のキャンプ場のようなキャンプ場としての設備はなにもありません。

 メカム川の谷の入り口で、風当たりも強く、夜は寒そうです。
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 宿泊用のテントは、ありあわせのブルー・シートの即席テントです。
 テントを組み立てるポールは、近くの山から切り出してきた竹を使います。

 もちろん、テントの設営も、子供らが自分たちの力だけで行います。

 テントの脇には、炊事用具を整理しておいておく棚もこしらえてあります。
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 これが、台所です。

 飲料水や調理に使う水は、ポリタンクに入っている、市販されている水を使います。

 左端の篭様のものは、もち米を蒸すための「せいろ」です。
 使い古された中華なべと甑(こしき)【写真の下】が見えます。

 竈(かまど)も即席で作ります。燃料には、近くで採ってきた枯れ木を使って調理します。
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 露営場所の真ん中には、広場が確保してあり、ここで集会が開かれたり、野外講義が行われたりします。

 座っている子供たちは、物知りの「モンコン先生(わが村の小学校の教頭先生)」から、「メカム川」の歴史などの講義を受けているところです。

 左の方に見える黒いものは、大型のスピーカーで、広報や、BGMを流したりするのに使われます。
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 テントの裏側に台所があり、ごみ袋なども用意してあります。

 教練期間中は、各学校ごとのグループに分かれ、さらに、生徒数の多い学校では、いくつかのサブ・グループに分かれて行動します。

 それぞれのグループごとに、テントは使います。
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 「パク・レム」の期間中、女子生徒は、それぞれの学校に登校し、学校内で教練を受けるのですが、2日目の一日だけ、自転車で学校から駆けつけて男子生徒と同じような教練を受けます。

 遠方の学校からは、ダンプ・カーの荷台などに乗せてもらってやってくる子供たちもいるようです。

 メカム小学校の女子生徒が、到着したばかりで、注意事項などの説明を聞いているところです。
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 川幅は、10mちょっとしかありませんが、
これでも、「渡渉」訓練です。

 最近は、肥満体の子供も増えてきて、危なっかしい子供も見られるようですが、転落する子供は、いないようです。

 それでも、両岸の大木に結んであるロープが、緩んでこないかと、監督の先生も気が気ではないようです。
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 おっとっと!
 ハイ、敬礼。

 ボーイ・スカウトの挨拶は、「敬礼」です。

 腰にぶら下げている、白い棒は、ボーイ・スカウトの「魔法の杖」です。
この棒がちょっと邪魔くさそうに見えます。
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 野外教練の期間中、中学生はの男子は、学校内に宿泊、女子も、学校内で教練を受けますが、やはり、2日目だけ、キャンプ場のある場所まで、自転車で出かけて野外教練を受けます。

 「遠足(ドゥンターン・カイ)」の小学生たちとすれちがったところです。
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 「遠足」の先頭は、高学年の「ガキ大将」たちです。

 いつの時代にも、どこの国にも、こんな元気のいい子供たちはいるものですが、彼らもやがては、成人していくわけで、先々の社会が、彼らを幸せにしてくれる社会であればいいと、ひそかに祈っております。
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 3日目の朝、さあ、解体です。

 「立つ鳥、後を濁さず」という言葉が、タイにあるのかどうかは知りませんが、先生の監督の下、後は、切れに片付けて、帰りしたくです。

 やや左よりの大柄な二人が、先生です。
 先生も、「ルーク・スア」の制服を着用し、シニア用のベレー帽をかむっています。
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 ボーイ・スカウトの白いポールは、制服とともに、隊員の象徴のような大切なもので、山野を歩くときの必需品でもあります。

 ふだんは、このように、テントの脇に、きちんと立てかけておきます。
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 先生たちも、子供たちも、みんな、ご苦労様でした。
 今夜からは、また、暖かい布団の上でぐっすり眠ることができます。

 帰りがけに立ち話した「モンコン先生」のお話では、川風に吹かれて、たいへん寒かったそうです。
 「今日は、これでもう仕事はなしです。」といわれた顔には、お年のせいもあってか、かなりくたびれた様子が見られました。