田舎の結婚式

仏暦2549年(2006年)5月吉日




 わが家の向かいに住んでいる、従弟「トーン(38才)」の長女「ジン(本名チャンチラ、18才)」が、挙式しました。
 新郎・新婦、ともに、まだ。高校3年生になったばかりです。

 新郎は、小学校時代からの同級生で、当時から「相思相愛(?)」の間柄だった幼な馴染みです。

 正式に「結婚式」の話が出たのは、ほんの2ヶ月ほど前のことです。
 「結納金」などの条件で、ひと悶着ありましたが、結局、金製品1バーツと10、000バーツで折り合いをつけることになりました。「相場」からすると、かなり控えめで、通常の3分の1以下の条件でした。当初の話し合いでは、それでも、新郎側の準備が出来ないとのことで、新郎側から、「挙式」は、年末ごろにという要望があったようですが、結婚資金を「融資」してくれる奇特な人が現れ、新婦の両親の希望通り、式があげられることになりました。

 挙式、一週間前ころから新居の準備や「式」の準備が始まり、わが家からも、連日のように手伝いに出かけていました。

 準備の中でも、大変だったのが、「カム・ドーク(花鉢)」作りでした。生花を使用するため、あまりはやくから作っておくわけにもいかず、前日の朝から始め、当日の昼前になってやっと完成しました。普通は、生花店など専門の業者に依頼するのですが、今回は自前でこしらえたようです。わが家の娘など近所の若者たちが総出で作りました。

 かつては「カム・マーク(キンマ・セット)」の交換だったそうですが、「キン・マーク(キンマ)」の習慣がなくなり、30年ほど前から、「カム・ドーク」に代わり始めたそうです。
 たしかに、今では、「キン・マーク」によって歯が黒くなる「鉄漿(おはぐろ)」美人もみられなくなりました。

 結婚式の儀式の初めに「銀の扉(門)」の前で、新郎・新婦がそれぞれの「カム・ドーク」を交換します。




挙式の準備

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新婦の両親の家
伝統様式の普通の家構え


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「カム・ドーク」作り
近所の若者総がかりで


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出来上がった一対の「カム・ドーク」
近所の若者総がかりで


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料理:生「マンゴー」
近所の主婦が総出で


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料理:水牛(クワーイ)のラープ
生肉の「たたき」です


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飲み物用の氷
当日、1トン近くの氷が消費されました


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背景飾りの製作
手慣れた、元坊さんの出番です


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式場は、これで出来上がりです
新郎・新婦と両親の席です


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朝から、かけつけても、年寄りの出番は
のんびり、一杯といったところ


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新郎新婦の友人たちも
のんびり、一杯


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「お床入り」の準備
ギンギラの新夫婦の寝室


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準備完了!新婦、一安心
あとは、お化粧と着替えだけ


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「出前」の美容師さんが化粧
花嫁姿は、コテコテ化粧で


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化粧も着替えも完了、ハイ!チーズ
衣装は、伝統の「シュット・プンムアン」


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家族みんなで、「記念撮影」
相撲とり並みの弟は、今年6年生






いよいよ、はじまり

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「花婿行列」が、やってきました
鉦・太鼓の鳴り物入りです


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行列の中ほどに「花婿」
介添人が「カム・ドーク」を抱えています


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行列の先頭、到着
「バナナ」や「サトウキビ」の貢物


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「交渉」成立まで、まちぼうけ
手持ち無沙汰で、木陰でひと休み


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「銀の扉(門)」
銀のベルトで通せんぼ


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交渉開始
花嫁側から、貢物の不足の苦情


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貢物の追加で再交渉
「こんなもので、どうでしょうか」


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交渉妥結
「門」が開かれます


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「花嫁」も「門」まで、お出迎え
暑いのは、天候のせいだけでは


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「花婿」ちょっと緊張
「照れ隠し」かも


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「カム・ドーク」の交換
タイ流の「愛のかため」です


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交換完了。ひと段落

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新郎・新婦の花道
挨拶をしながら


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参列者の席の間を
正面の席まで行進し


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やっと、席につくことが出来ました
「儀式」が始まるまで、しばらく休憩です


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参列者も
和気あいあい


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飲んだり
食べたり


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よもやま話や
記念撮影など、のんびりすごします






        「儀式」の始まり

 実は、新郎新婦は、この朝早く、お寺に行って、「仏式」の儀式をすませてきました。
 タイの結婚式には、9人の坊さんをお招きして、この場で「仏式」の「儀式」をするところが多いそうですが、このあたりでは、お寺での儀式は、別に行われます。
中部タイの「結婚式」とは異なり、北タイの田舎での「結婚式」には、坊さんは出席しないようです。
 したがって、ここで行われる儀式は、「精霊信仰」など、北タイ独自の昔からの慣習にのっとったもののようです。
 「アーチャン(師)」と呼ばれる村の年配者が、「精霊信仰」の介添え人となって、厳粛な儀式が、とり行われます。「アーチャン」と呼ばれていても、プロの宗教者ではなく、普通のおじさんです。


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まず初めに、仲人役の「カムナン(町長)」が
新郎・新婦のおでこに「吉祥」印を


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「アーチャン」による「結婚」の儀式
新郎・新婦の手に「聖水」


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「アーチャン」の「祝詞(?)」
「虎の巻」を見ながら


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「アーチャン」による「聖糸」結び
「呪文(?)」をとなえながら


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「聖糸」の首かけ
首まで、結び合わせてしまいます


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新郎の母親から、新婦へ金製品の授与
黄金1バーツのネックレス


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新婦の両親による祝福
「聖糸」結びだけ


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両親はセレモニーが終わると
入れ違いになって着席


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来賓者の「聖糸」結び
まず、「町長(カムナン)」から


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次は、「監査役(サラワット・カムナン)」
この後、しばらく「来賓」が続いた後


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「聖糸」結びをしたあと
「祝儀袋」を、銀の鉢に


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来賓者の「聖糸」結びにつづいて
一般の参加者の「聖糸」結びに入りますが


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なにしろ、200人以上の人が
延々、2時間以上もかけて


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やって来て、新郎・新婦の疲労も極度に
泣きたくなっちゃいます。ほんとに。


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今回も「司会役」のモンコン先生(左)
わが村の小学校の教頭先生です。






    「床入り」の儀式

 「床入りの儀式」は、本来は「秘儀」だそうです。
 近親者と介添の者しか同席できないそうですが
無理を言って中に入れてもらいました。
 「硬貨拾い」は、すでに終わってしまっていました。


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「同衾の儀式」
昔は、もっとエロチックだったようです


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「聖糸」はずし
これだけ多いと、なかなかおわりません


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「同食」の儀式(?)
お互いに相手の口元へ


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「長い間、有難うございました」
新郎新婦の両親への「ワイ(合掌)」






やっと終わりました

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「宴会」は夜遅くまで続き
 プロ(?)のセクシーお姉さんの歌に合わせて


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ご機嫌な参列者たちが
踊り狂います。


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化粧も落とし、普段着に
今日一日、お疲れ様でした。ご両人。




(参考)
義弟、タウィの結婚式のようす 『社会編 田舎の結婚式』 もご参照ください。

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