ザクロ(タプティム)



義弟タウィ家のザクロ

ザクロ (ザクロ科)
Punica granatum L.
(タイ)  タプティム
(北タイ) ム・コー
(中国) 安石榴、石榴


 原産地は、ペルシャ(イラン)あたりで、亜熱帯性のくだものだが、日本でも暖地で結実する。
 ギリシャ、ローマ時代にはすでに西欧にも入っていて、さまざまな神話や伝説にも登場する神秘的なくだものである。中国では仲秋の名月祭には欠かせないもので、広く栽培されている。
 実ザクロと花ザクロがあり、花ザクロは、盆栽としても栽培されている。

鬼子母神の話)
 お釈迦様は、いたいけな子供をとって食べる鬼子母神 に、”もし子を食わんとするときは、この果を食べよ。香味人肉と違うことなし” とザクロの実を与えたということです。
          「園芸大百科事典」(講談社刊)より
 ずっと以前、まだ日本で生活していた頃のことだが、スーパーのくだもの売り場で見かけたりすると、つい買いたくなる不思議な「くだもの」だった。
  種ばかりで、ほとんど食べるところがないにもかかわらず、見かけにつられて、ついつい手を出したくなってしまう。タイに越してきてからも、やっぱり同じ思いはかわらない。
 タイ名の「タプティム」は、宝石ルビーのことである。
確かに、ざくろの実は、ルビーを連想させる。
「ルビー」は、かみさんの「誕生石」だが、今のかみさんといっしょになる前からのことである。

 我が家のザクロは、実生で、もうじき5年になるが、まだ花も咲かない。土壌が気に入らないのか成長が遅く、丈はやっと1mくらい。それでも、日本で買ったザクロ、おそらく外国からの輸入ものだろうが、なんかいじらしくて、「花咲か爺さん」のつもりで、気長に待つことにしている。

 日本から持ち込んだ果樹で、生き残っているのは、実生の「びわ」と、この「ザクロ」だけ。今までに、「りんご」、「梨」、「柿」など、みんな育たなかった。
 最近、「巨砲ぶどう」も実生から苗を育てたが、3,4年たって全滅した。

 植物というのは、永い年月をかけて、その土地の「土壌」や「気候」に適応してきたもので、動物ほどには順応性はないようである。
 動物の場合は、棲みにくい土地からは、速やかに脱出して移動することが出来るが、植物の場合は、そういうわけにもいかない。

 北タイには、日本の農業指導で、各種の日本の「野菜」、「果樹」が栽培されているが、栽培技法の違いもあるのだろうか、日本並みに育って出荷されているものは、ほとんどない。どれもこれも、「北タイの日本野菜」だったり、「北タイの日本くだもの」だったりして、物足りない。
 それでも、遠く故郷を離れていると、ありがたがっていただいたりしている。「郷愁」も味のうちに入るのかもしれない。






我が家の「ザクロ」は、2006年現在、
まだ、「花」も咲かないので、市場のもの。


( 追記 )

 「ザクロ」を、タイ語では「タプティム」といい、宝石の「 ルビー」と同じ呼び名だが、北タイの年寄りに「タプティム」といっても、多分通じないにちがいない。
 北タイにも、かなり古くから入っていたもののようだが、北タイでは、「ム・コー」と呼ばれていた。
 現代の子どもたちに「ム・コー」などといっても通じないわけで、「タプティム」、「ム・コー」の両方を理解できるのは、4〜50台に限られるようである。
 こと、「くだもの」の呼び名に限らず、似たようなことが多いのだが、北タイの社会が大きな曲がり角を通過しているということの証しであるにちがいない。

( 追記2 )

ザクロに前立腺がん抑制成分 名古屋市立大が研究発表

 果物のザクロに、前立腺がんの細胞を死滅させる成分が含まれていることが、名古屋市立大の朝元誠人・助教授らの研究で分かった。(中略)
 朝元助教授らは、人間の初期の前立腺がん細胞を培養し、濃度5%のザクロ果汁の溶液に入れて影響を調べた。すると、わずか30分で激しい反応を起こし、がん細胞が死滅した。前立腺がんにこれほど強く作用する天然物質は例がないという。他のがん細胞には効果がなかった。(中略)
 朝元助教授は「普通の食品に、こんな作用があるのは珍しい。成分が分かれば、前立腺がんの予防や治療への応用が期待できる」と話している。
                       (2006年9月28日22時19分 読売新聞)