「フタバガキ」(ラワン材)について
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フタバガキ (フタバガキ科)
Dipterocarpaceae ディプテロカルプ、メランティ、クルイン、ヤーン(タイ)、榕樹(中国) |
![]() 「3枚羽根のフタバガキの実」 |
![]() 回転しながらヒラヒラと舞い降りてくる。 なんとも楽しい「木の実」である。 羽根の部分のそり具合が実に巧妙にできていて、大自然の巧妙さには感服する。 |
いまでは、チェンライ県では、よほど山の中に入らないと見られない。以前は、里の近くにも見られたものらしいが、すっかり伐採されてなくなってしまった。チェンライあたりでは「ヤーンの木」と呼ばれ、ここ「パ・ヤーン」の村落の名にも残っている。(「パ」というのは“森”や“林”を意味する)。ほかにもあちこちで同じ名の村に出会うことがある。普通に見ることができる木であったにちがいない。いつの日か、「ヤーン樹」の林を復活させたいものである。 |
「熱帯雨林の植物誌」(平凡社)に、ちょっと感動的なことが書いてあったので、蛇足ながら紹介。 『・・・成熟したフタバガキ科の木が始めて花をつけるのに、ときには60年もかかる。そして花が咲き出しても次の花が咲くまでには三年、七年、あるいは十一年といった奇数の年数(あるいは多分もっと長く)がかかると聞いたら、多くの人はびっくりするにちがいない。・・・』 数あるフタバガキの種も同じ時期に開花することはないらしい。 『・・・多分、熱帯林のこの「巨人」は、数百万年以上もの間の進化の過程で、動物たちの「助け」を受けなくてもやせた土地に生育できるように適応してきたのだろう。風の助けも受けず、昆虫や鳥類あるいはその他の動物の援助もなく、まれにしか開花せず、他の種と交雑もしない。これらすべてはフタバガキの繁殖率がきわめて低いことを意味している。地上でフタバガキの分布が広がっていく速さは、安定しているとはいえたいへん遅く、一世紀にたったの1キロメートルにしかならないと推定されている。』 『1985年現在、マレーシア、フィリピンのフタバガキの森林はほぼなくなり、スマトラ、ジャワではすでに伐り倒されてしまった。ボルネオが東南アジアでの森林開発の中心になっているが、あとどのくらいこの森林は持ちこたえられるのだろうか。現在の消失率からいけば、西暦2005年までだろう。』 ちかぢか、経済規模での伐採はできなくなることだろうと思われるが、「合板材」の原材は、転換されているのだろうか。 |