「大腸ポリープ」の手術経験

 2000年の年の瀬もおし迫ったころのことだったと記憶しております。
かつて、「便秘」などは、滅多にしたことはなく、しかも何日も続くなんてことはありませんでした。それが、そのころから、しつこい便秘が続き、「漢方薬」なども効果がなく、そのうち、軽い出血を伴うようになり、かかりつけの「日赤長野病院」へ診てもらいにいきました。
 X線や尿検査の結果、「内視鏡」による大腸の検査をすることになりました。
 その際は、前の日の夜から「飲まず食わず」ということになり、当日は早朝に来院するように言われました。

 内視鏡検査当日、ご同輩が、数人来院しておりました。
 早速、看護婦さんに下剤の注射を打たれたあと、大きめのペット・ボトルに入った少し塩辛い水溶液の下剤を渡され、1時間ほどかけて、すこしづつ飲み、トイレに行った回数を、メモするように指示されました。この下剤は、かなり強烈な効き目でのものでした。

 そのうち、「内視鏡検査」の順番がまわってきました。診察室の片隅にある畳、半畳ほどの狭い更衣室内で、スッポンポンになって検査用の衣装に着替えます。
 着替えたあと、検査用の診察台に上がり、いよいよ検査開始です。 検査用のベッドの脇には、15インチほどのモニターのある検査機器がおかれていました。
  検査というのは、かなり痛く苦しいものでしたが、内視鏡が入れられるとすぐに、「大腸」の中の様子が、モニターに映し出されました。「ミクロの世界」そのものです。進んだ世の中になったものだと感心いたしました。患部を患者にも見せながら、手術できるなんて。 自分の目で確かめるようにいわれ、モニターを見ると確かに「ポリープ」が見えました。
  その日は、医師の都合で検査だけで、来月手術ということになり、数日の入院が必要かも知れないので、入院の準備もしてくるようにといわれました。

 いよいよ、手術の当日です。内視鏡ということで、たいした手術ではないと、「から元気」のやせ我慢はしていたものの、やはり、少々心細くなりました。 入院手続きを済ましてから、病室に入り、患者用のパジャマに着替え、前回の検査のときと同じ手順で、体内に残っている汚物をすっかり下剤で流し出して、ポリープ切除用の電気メスのついたファイバー・スコープの挿入です。

 まず、出口に近いところにあった小さなポリープが取り出されたあと、すぐに傷口が「クリップ」で「縫合」されました。順調です。医師の話だと、ごく小さいものまで含めると、10個以上あるとのことでした。
 取り出したポリープは、「検査」のために、ガラスの容器に入れら、「これだよ、スズキさん」と、見せてくれましたが、小さな肉の塊といった感じのもので、特別な感情もわきませんでした。
 その後、2〜3個とり出したあと、ちょっとばかり大変なことになりました。今度は、大きいんです。医師は、もしこれ以上大きかったら「開腹」だと、悩みながら挑戦してました。内視鏡手術で一番怖いのが、切除したあと出血が止まらないことだそうです。どうしても、止血できない場合は、すぐに「開腹」するんだそうです。小生の場合は、とりあえずは、止血できたようでしたが、ファイバー・スコープの管の中を通して取り出すのに、だいぶ手間取りました。傷口も大きくて、縫い合わせるクリップも数本使ったようです。
 2時間あまりかかった手術もやっと終りました。

 病室に戻り、静養です。入院といっても、さすが内視鏡手術だけあって、わずかに下腹部に違和感がある程度で、元気そのもの。特に注意もされなかったため、点滴のビンを持ち歩いて、「リハビリ(?)」で、病院内を、「探検」して歩きました。

 ところが、翌日になっても、血便は止まらないばかりか、ジワジワとにじみ出てくるのです。看護婦さんに、その旨話すと、次回の排便のあと、流さないで見せてほしいといわれ、そのとおりにすると、看護婦さんは、かなり心配そうな顔をして、「先生」にもう一度、見てもらうことになりますのでといわれました。

夜になって、担当の医師から、明日、また「内視鏡」と告げられました。「ああーあ、また、絶食か」と悲しくなりました。
翌日は、午前中のうちから、水溶液の下剤ではなく、大型の「浣腸」だけで、手術となりました。出血している傷口に、これでもかこれでもかと10本以上のクリップが、打ち込まれました。 結局、経過も心配だからと、2〜3日の予定のところ、10日間も入院させられてしまいました。もっとも、途中で、車の運転をして、家に帰ったこともありましたが・・・。「シン(猫)」が心配で。猫の喜ぶ姿を見て、無理やり一時帰宅させてもらって、よかったと、思ってます。

 退院の当日、「癌の検査」の結果が、わかりました。1個の検体は「?」だったそうです。「まあ、大丈夫でしょう。半年後までに、また検査しましょう」ということに、なりました。
いずれにしても、「大腸癌」というのは、一般には、そう、急激に悪くなることはないとのことでした。

 それが、半年後の検査で、またまた、ポリープがいくつか見つかってしまい、また、手術ということになりました。医師の話だと、前回見落としたはずはないので、「ポリープ過多症」ではと心配されました。
2回目の手術は、順調だったように記憶しております。
 その後も、1〜2年に一度は、検査するようにと言われましたが、その後、現在(2007年)まで、「内視鏡」はやってませんし、今のところは、異常な「便秘」にもならず、生きのびております。というか、便の色、形など、腸に関しては、健康そのものです。

 それにしても、ありがたかったのは、入院中見舞いに来てくれたKさんや、随分迷惑かけたであろう会社の同僚や先輩たちに、おおめに見てもらったことです。いまさらですが、ほんとに感謝しております。

下の写真は、最初の手術のとき、F先生に無理を言って、クリップ数本とともに、「記念」にいただいたものです。まさに、「ミクロの探検」そのものです。


小さなポリープ

大きめのポリープ

大きめのポリープの切除

切除後の傷口は、クリップで