「 赤土(ラテライト)は、火山灰?」 ![]() ランナータイの山の土は、真っ赤である。「ラテライト」というのだそうだ。 木や草の生い茂っているところは、表面は黒土だが、道路工事などで露出した山肌は、 どこへ行っても真っ赤な「赤土」である。 ![]() この赤さから、かつては猛烈な活火山でもあったのか、それとも地球がまだ灼熱の火の玉だった頃に出来た地層かもしれないなどと想像していたが、 火山灰ではなく、「風化土」だとそうである。高温多雨の気候のため、塩基など水溶性成分の多くが洗い流され、 鉄(Fe)の酸化物とアルミ(Al )の酸化物が濃縮して、真っ赤な土になったのだそうだ。 成分として鉄分の多い赤土からは、鉄を取り出すことが出来るそうだし、アルミの多い赤土は、「ボーキサイト」とよばれ、アルミニュームの原料鉱石となる。 この「ラテライト」には、大変便利な性質がある。 地下にある「ラテライト」は、湿っているときは、普通の土と同じように軟らかいが、いったん乾燥すると鉄分の影響で非常に硬くなり、元には戻らないらしい。「不可逆性」というのだそうだ。 そんな性質を利用して、「ラテライト」から「日干しレンガ」が作られる。 「アンコールワット」や「スコータイ」の遺跡の建造物をはじめ、ふるい仏教遺跡のほとんどが、この「日干し煉瓦」造りだそうだが、最近では、民家の塀や建物にもこの「レンガ」が使われることがあるようである。 「ラテライト」の語源は、ラテン語のLater(レンガ)からきているのだそうだ。 ![]() 左の写真は、幹線道路の拡幅の際、山の斜面を切り崩し、コンクリート補強もすることなく、整地しただけの状態で供用されているものだが、崩れ落ちる心配はないらしい。また、この土を盛上げて出来た道路は、簡易舗装がされているようなものなので、雨上がりでも、少々の車の往来では、ぬかるみになることはない。 ![]() 先般、チェンマイ県のチェンダオ方面に降った100年ぶりとかいう大雨で、道路表面が舗装されているにもかかわらず、道路決壊したところがあったそうである。道路の側面の基部が乾燥したことはなかったためかもしれない。 (写真は、「チェンダオ鯰」さんのBLOGから転用) この「ラテライト」の乾くと硬くなる性質が災いになることもある。 もともと、この赤土から出来ている畑の土は、耕しても耕しても、いや、深く耕せば耕すほど、表土近くは乾くとカチカチのコンクリート状態になってしまう。雨水も、植物の根元近くの亀裂からしか吸収されないため、植物の根は絶えず乾燥状態に近いため、成長は阻害される。また、ちょっとした大雨でも、雨水は地下に浸透しにくいため、地表を流れ下ってしまい、またたく間に河川が増水するゆえんでもある。たまにしか降らない乾期の雨など、土壌にしみこむ前に、流れていってしまい、よほど多くの堆肥などの腐植を投入し土壌改良しない限り、野菜などの栽培には不適当である。 「ラテライト」というのは、植物にとって不可欠な微量成分も豊富で、保肥力もある作物栽培に適した土であるだけに、この土の表面が「レンガ」になる性質だけは、困ったものである。 (余談) アルミ分の多い「ラテライト」の土は、青色の「アジサイ」栽培には適している。鮮やかな青色が出やすい。ところが「ピンク系」の「アジサイ」は、そのままでは色ボケしてしまい、苦土石灰などで中和してやる必要があるらしい。 |