ナツメヤシ (デーツ)



庭に植えられている 「ナツメヤシ」

ナツメヤシ (デーツ)  (ヤシ科)

Phoenix dactylifera L.
 

(タイ)  インタパラム
(中)   波斯棗、 蕃棗
(英)   Detes


 「ヤシ科」植物の中では、もっとも乾燥地を好む種類で、原産地は、中近東地方の砂漠地帯にあるオアシスとされている。
 非常に有用な植物で、古代メソポタミヤ時代から植栽されていた。
 「聖書」 に登場する「ヤシ」は、すべて「ナツメヤシ」だそうである 。
 「ナツメヤシ」の「ナツメ」とは、果実が「」に似ているところからつけられた名前であるが、「ナツメ」とは、まったく異なる「ヤシ科」の植物である。
 もっとも優良な「デーツ」を産するのは、イラクのバグダッドで、その大半が合衆国に輸出されていたそうだが、戦争後どうなったか・・・。



「ナツメ」のこと、「インタパラム」のこと


 実は、現在のところタイ国内で食べられる 「デーツ(ナツメヤシの実)」 は、すべて中近東からの輸入品であるらしい。
 「ナツメヤシ」の乾燥果実(デーツ)は、黒砂糖のように甘い。 タイの華人系の人たちが、ことのほか好むもので、甘党にとっては、格好の 「茶うけ」 になる。したがって、タイの輸入量もかなりのものであるらしい。  ( 写真は、実物大の 「 デーツ 」 )

 あえて、「 タイのくだもの 」 として とりあげた理由は、2つある。
 ひとつめは、もう、60年以上昔のことだが、大陸で生活していたころ、「ナツメ」 といって好んで食べたもので、その味を 「舌」 が 記憶していてくいれた。
 思い出した最初が、20年あまり前のことだが、アメリカの製菓会社から直接通販で購入した「フルーツ・ケーキ」。 「デーツ」 がふんだんに使われている、カチカチの 「ケーキ」だった。
 現在では、どこででも簡単に手に入る 「ケーキ」なのかも知れないが、当時はそれでも珍しかったように記憶している。
 その後、タイのスーパーの食品売り場で、「デーツ」 を見つけては、何回か買ってきて食べた。
比較的高価な食べ物で、冷蔵庫に保存して、惜しみ惜しみ食べた。 そのたびに、幼いころの思い出が、頭をよぎった。
 幼児期の食べ物で、記憶に残っているものは、そのほかにも、いろいろあるが、ソーセージ と 「薄餅(パオピン)」 の記憶は、鮮明である。
 敗戦で 日本に引き揚げて来て以来、確かに この味だと思える 「ソーセージ」 に出会ったことはない。 華僑 の多いタイに来てからも、まだ出会えていない。 「舌」 の 記憶違い でなければいいが。
 「薄餅(パオピン)」の方は、母親の手作りで、帰国後も何回かは、食べさせてもらった記憶があるし、「ペキンダック」には必ずついてくるもので、味などわがまま言わなければ、まあまあのものに出くわすことが出来る。
 そんな 「舌」 の記憶の中で、「ナツメ(デーツ)」 は、”ああ、これだこの味だ”と、いつも 「舌」 が言っている。

 ふたつめの理由 は、チェンライへの引越しの折、再度にわたってお世話になったバンコクの 運送会社社長の Kさんが、奥さんの実家のある タイ東北地方 で、「インタパラム(ナツメヤシ)」 の大規模栽培を始められたことが理由である。

 従来から、タイのような雨期のある土地での栽培は、不可能といわれてきたらしいが、中近東から種子を取り寄せ、100ヘクタール 近い農地に栽培されている。
 播種から苗を育てて、最初の収穫が期待できるまで 10年 以上の期間を要する たいへん 息の長い作業である。
 2006年 現在、最初に植えつけたものは、そろそろ開花が始まっているのかもしれないが、収穫できるようになったかどうかは確認してはいない。
 この プロジェクトは、外貨節約 が出来ることなど、タイ農業省の お役人も注目しているらしい。
 タイ産の 「 ナツメ 」 にお目にかかれる日が 1日でも早く くればいいと、こころから 願っている。