ADSL奮闘記 2005年6月、我が家でもADSLが使えるようになった。田舎では、ADSLのことを「インターネット・クァームレーオ・スーン(高速インターネット)」といって、県内でもかなり普及してきているようである。ADSLの料金も大分値下げされ、ダイヤル回線で使用する電話料金との差もほとんどなくなってきた。 ADSL導入にあたって、一喜一憂した経緯など、書き留めておくことにした。 ・ 2004年寒期はじめ プロバイダーのホームページで「TT&T社」のADSL「Hi−net(2MG)」が、 「チェンライ」でも使えることを知る。 メール登録だき合わせの、プロバイダーのADSLは、それ以前からチェンライでも使えた。だが、月々の使用料金が高く、加入する気にはならなかった。チェンマイのさる方のホームページで、TT&Tの「Hi−net」の紹介記事も読み、ADSLは「Hi−net」にすることに決めた。メールサービスはないものの、DL:2MB,UP:0.7MGで、かなり使えそう。 (余談)チェンライの電話会社は、「TOT」と「TT&T」の2社で、それぞれがサービス地域を分けあって電話回線を管理していて、我が家は、TT&Tのテリトリーである。 電話番号の上3桁は、「地域番号」で北タイ一帯が「053」である。これは日本の「局番」とはちがう。同じ地域番号でも、いわゆる「市内」扱いと「市外」扱いがある。チェンマイへつなぐ場合は、同じ053でも市外扱いである。ダイヤル回線でインターネット接続をはじめて間なしの頃、チェンマイのIPにつなぐとすいていてすぐにつながるため、長時間利用し、しこたま料金を徴収されたことがあった。 地域番号に続く1桁が「TT&T」か「TOT」か区別するコードで、このあたりだと、6だと「TT&T」、7だと「TOT]ということになっている。 そんなわけで、我が家で使えるADSLは、TT&Tのサービスだけなのである。 ・ 2004年11月 チェンライのスーパー「BIG-C」内にある「TT&T」のカウンターに申し込みに行く。 現在チェンライ市内ほか一部の地域のみのサービスで、メカム地区は当分先、来年3月頃からだろうとのことで、断られる。そうは言っても、もしかということもあり年末頃からたびたびチェックする。 ・ 2005年5月 忘れそうになっていた頃、TT&Tから「プロモーション・レター」が郵便で届く。 “5月末日までに申し込みをすれば、加入手数料無料、ADSLモデム無料”、つまり、申し込み時には一切費用がかからないということである。 使用中の「1ヶ月使用時間制限なし」の「インターネット・カード」 が6月はじめまで使えるためぎりぎりまで申し込みを延ばす。これが失敗で、のちにモデムを自費で購入しなければならないことになる。 ・ 2005年5月下旬 「BIG-C」で申し込み。 ADSLの申請ができるのは、電話の名義人だけである。新規電話加入申請と同じ扱いで、名義人の「身分証」と「住民登録証」が必要である。料金徴収は通常電話料金といっしょに請求が来るのであろう。万一料金を滞納すれば通常電話の使用も差し止められるにちがいない。 今回は「住民登録証」を持参していなくて、受け付けてもらえず、「メサイ」のカウンターで申し込むように言われる。なぜ「メサイ」なのかはわからなかったが、「メサイ」の方が、我が家からはいくらか近い。 受付手続きが煩雑で、カウンターの担当者としてはうれしくないのか、そっけなく応対された。ちょっと、不愉快。 プロモーション・レターの差出人はチェンライ事務所の係りでカウンターの受付とは別人にちがいない。。事務所の方には、一度も行ったことはなかったが、事務所に行ったほうが良かったかなと、ちょっと後悔する。 ・ 2005年5月下旬(数日後) 「メサイ」のTT&Tのカウンターに行く。 自宅の住所と電話中継局から自宅までの距離を質問され、およそ5kmと答えると、4km以内でないと受け付けないと断られる。 ADSLは高周波帯を使用しているため、中継局から離れるに従って信号の「減衰」が大きくなって、使えなくなるらしい。電話回線の質にも拠るが、中継局から数キロ以上離れたところだと、ほとんど使えなくなるらしい。 ああ、これで絶望かとかなり落胆。こんなタイの田舎に「光ファイバー」なんて、いつのことになるやら。メチャンの街中では、ケーブル・テレビのサービスが始まったらしいが、市街地ならともかく、こんな田舎までサービスされるのはいつになることやら。 これで、「ブロード・バンド」の恩恵にはあずかれるのは、半永久的に無理なことかとなかばあきらめ、かなり落胆する。 そうは言っても、まだ完全にあきらめるわけにはいかない。インターネットで日本のADSL事情を調べてみる。ADSLはいろいろ問題が多いようだが、中継局から7キロ近い使用者の話が載っていた。使える。56Kbpsのダイヤル回線と比較すると、数倍は早いらしい。これで、ちょっとばかり元気付く。 自宅から局までの距離が、4キロ以内であるとごまかしても、申請さえパスしてしまえば何とかなるかもしれない。わずかながら希望がわいてきた。 ・ 2005年5月30日、再度「BIG−C」へ ADSLの申し込み者は順調に増えているのだろう。今日は、ADSL専門の男性社員(技術者?)が応対してくれる。 彼は、まず最初に、設置場所が中継局から5km以内かどうか確認した。(のちに、モデムの・ユーザー・サポート担当者からのメールでも、5km以内ということだった。)「メサイ」の4kmはいったいなんだったのか。 家からの距離を質問されたら、さばを読んで4km以内と答えるつもりだったが、その必要はなくなった。住所から「電話敷設台帳」の地図を検索し、申請を受け付けてくれることになる。ブラボーである。申請書類は、2,3枚あり、その場でケサリンが記入した(電話の名義人はかみさん)が、結構面倒な様子だった。申請完了。 ところがである。「無償」のはずのADSLモデムが、「品切れ」なんで、そのあたりのパソコン・ショップで自費で購入しろと。え?である。そんなことってあるのかいなとは思ったが、ここはタイ、日本とはちがう。かみさん、話がちがうとご機嫌斜めだったが、何とかなだめすかす。無償商品の横流しをする話を以前聞いたことがあり、もしかするとなどと疑ったりした。 「BIG−C」内のパソコン・ショップへ。1件目は「売り切れ」。2件目にたった1台だけあったのを、売れ残りのようで気に入らなかったが購入。本当は「ルーター」にするべきだったらしいが、リサーチ不足で「モデム」としか頭になかった。 仕様など以下のとおり。 「BILLION BIPAC 7000 ADSL Modem」 購入価格 1650バーツ オーストラリア BILLION社製 Modem-IC conexant v3 firmware 3.32.0 Annex A standard ANSI T1.413 Issue 2, ITU-T G.992.1 (G.dmt) Down 8 Mbps, Up 1 Mbps OAM F4/F5 loopback USB 1.1 ・ 2005年6月6日、INSTALL 使用開始日の6日、ドキドキしながら、インストール。 全然つながる気配なし。 ADSLのモニター画面をみる。 “Attempting to Activate Line”、“Line Down”の繰り返し。 やはり、遠すぎてダメなのかもしれないと、少々不安になる。 TT&Tのカスタマ・サービスとモデムの販売会社「ASTRA(タイ)」にレスキュー要請のメール出す。インターネットで検索して、いろいろ調べてみたが、原因らしきものはまったく不明。ますます不安つのる。 ・ 2005年6月8日、ASTRA社より丁寧な返信 TT&Tの方は、なしのつぶてだったが、「ASTRA社」から返事が返ってきた。 モデム故障等、モデムに不安があるにしても、修理依頼する前に、次のことをやってほしいとのことで、確認テストをいくつかと、さらに、回線会社への問い合わせ。 仰せのとおりということで、できるだけ早く、「BIG−C」へ行くことにする。 ・ 2005年6月10日(土)、ADSL立ち上げ依頼 「BIG−C」のカウンターへ行くと、待ってましたとばかり、「1000バーツで立ち上げ作業をしてあげますが、いいですか」といわれ、いやとも言えずOKする。OKはしてみたものの、彼らがやったって結論として「ここでは遠すぎて無理ですね」と言われそうで、不安。だが、万一、我が家からはADSLが使えないという結論になったとしても、「解約手続き」はスムーズにいくのではないかと、いくらか気が楽になる。 次の週の月曜か火曜に担当者が、我が家にやってきて「立ち上げ」をやってくれることになり、サービスの申し込み書を書いて、1000バーツ払って帰る。 ・ 2005年6月14日(火)、ADSL立ち上げ成功 ヤボ用で出かけることになり、留守中「TT&T」の技術者が来たら、待たせるか、後日再度尋ねてくれるように言いおいて家を出る。 午後3時前帰宅すると、ADSLは使えるようになっていた。 「日本語WINDOWS XP」でドライバーのインストールなど苦労したのではないかと、ちょっと気の毒になったが、無事インストールされていた。 成功した最大の原因は、「宅内配線」の一部張りかえをしたことであろう。 今までは、電話回線をパソコンにつなぐ前に、スプリッターなど使わずに直結で、パソコンへの配線と電話親機への配線を分岐させていた。ここで、信号は2分の1くらいに減衰していたようだ。それでなくても、遠距離なのに、これでは到底ADSLなんて使えないわけ。 配線のしなおしでADSLモデムの手前につけてある「スプリッター」までは、外からダイレクト。電話親機へはこのスプリッター経由に配線変更。 配線部品や新しい宅内配線用のコードなどは無料サービス。 ADSLが何とか使えそうなことがわかって、大感激。 ところがである。大喜びはしてみたものの、DL(レシーブ側) 160Kbps、UP(トランスミット側)352Kbps。おやおやである。どんなカタログや説明書を見ても、DLのほうがUPより遅いなんて見たことも、聞いたこともない。 なんとも、気持ちが悪いが、とにかく使えるだけでいいやと、とりあえず、忘れることにする。 インターネットで検索したところ、「宅内配線」をさらに改善することで、速度の問題は少しはよくなるようなので、後日、チャレンジしてみることにする。 ・ 2005年6月15日、ADSL終日使用できる 昨夜は徹夜でADSL。どうやら一日中接続したままで使用できる。ほっとする。 ダウンロード速度は、64Kbpsから256Kbpsまで変化するが、さしたる障害にはならない。256Kbpsの時は、さすがに早い。常時、これぐらいだったら良いのだが。 ・ 2005年6月16日 WINDOWS XP 更新プログラムのダウンロード。順調。かなり早くなった気がする。これだけ使えれば、文句の言いようはない。 雷が鳴って、急に激しい夕立。ADSL、ストップ。 その後も雨のたびに、ストップして、我が家のADSLは、雨に非常に過敏なことが判明。中継局から、我が家までの回線に問題があるのだろうとは思うが、もしかすると、もっと、上流の問題かもしれない。 メカムの中継局とチェンライの地域センターとは、「マイクロ・ウェーブ」でつながっており。チェンライとバンコクとは「衛星通信」である。もしかすると、このあたりにも問題はあるのかもしれない。また、以前から、雨が激しく降ると、パソコンの調子がおかしくなることがあり、200Xの電源自体にも、漏電等問題があるのかもしれない。いずれにしても、「雨」の問題は、すぐには解決しそうもなく、いまのところ、「天」に任せるしかない。 ・ 2005年6月22日 平均的な測定速度は以下の通り。 アップロード速度 : ダイヤル回線の15倍 ・ 2005年6月23日 アップロードに比べて、ダウンロードが遅い件 野暮用でチェンライに出たついでに「BIG−C」によって聞いてきた。係りの技術者も、ちょっと意外ということで、その場で、カスタマー・サポートに電話して確認してくれた。「Hi−net(2MG)」は、ユニットあたり50人で使用するようになっており、利用者が多いとDLは、極端にスピードが落ちるのだそうだ。彼の勧めでは、「TT&TSS−Maxnet(512Kbps)」に変更した方が早いかもしれないとのこと。「Maxnet」はユニットあたり、20人だそうで、大口(インターネット・カフェーなど)がほとんどないのですいている可能性が高いらしい。契約変更は可能だそうだ。料金も月790Bで200Bほど安くなる。近日中に契約変更の予定。 ・ 2005年6月、その後の状況など 現在のところ、我が家のADSLの問題点を以下に列挙しておく。 @ 雨が降れば、使えない。 A 混んでいると、使えない。 B 原因不明で、使えない。(IP側の問題か) C ダウンロードの方が、アップロードより、はるかに遅い。 D 今までのようにメール送信できない。TT&Tからの転送をJI−NET側が受け付けないらしい。かなり致命的だが、受信はできる。ダイヤル回線の場合は、受信操作で「認証」された直後は、TT&Tからの転送を受け付けてくれた。 ・ 従来のダイヤル・アップ回線の使用方法 試行錯誤の末、以下のような使い方をしてきた。 ・ 「N−RICHカード(TT&T)」を使う 30日間時間無制限、メール・サービスなし、3時間ごとに再接続 定価335B ・ 「Ji−NET Q2カード(Jasmine Internet)」を併用。 メール・アドレスを確保するため。6ヶ月間有効。 TT&T回線のバックアップとしても使用できる(24時間+α) 定価199B ・ 電話料金 1回3Bのシステムのおかげで、ヘビーな使い方をしても、 月700B前後。 「N−RICH]カードと電話料金で、月平均1000Bあまり支払っている。 ADSLは電話も併用できることを考慮すると、ほどほどに使用できればと考えている。 |